赤ちゃんが吐いた

3.病気に伴う嘔吐

1)消化管の通過障害によるもの
1.胃軸捻転症:生後早期よりずっと吐き続け、おなかがプクッともり上って(腹部膨満)、哺乳後苦しそうであったり、ゲップが出にくいなどの訴えがある場合には、「乳児胃軸捻転症」が考えられます。この病気はいわゆる腸捻転などとは違い、胃が縦方向に捻れている状態でお母さんの辛抱強いケアで大部分は手術をせずに内科的治療で直る病気です。

2.幽門狭窄症:生後2~3週目より嘔吐が始まり、初めは溢乳程度のものが次第に強い吐き方となり、哺乳直後から30分以内に数回にわたって鼻から噴き出すような吐き方は”噴水状嘔吐”と呼ばれます。この場合には、胃から十二指腸へ移ってゆく幽門と呼ばれる部分をとり囲む筋肉が厚くなった「肥厚性幽門狭窄症」が考えられます。手術によりそれまでの嘔吐がウソのように全く吐かなくなります。

3.腸重積:生後3ヶ月を過ぎた赤ちゃんで、突然不機嫌となりくり返し吐いて激しく泣いていたかと思ったら2-3分後にはケロッとしていて、また20-30分後には同じ症状をくり返す場合は要注意です。「腸重積」という診断や治療が遅れると厄介な病気で、腸が腸の中にもぐり込んで、詰まってしまった状態です。浣腸で血便を認めたり、やがて”イチゴジャム様の血便”が出てきます。腸重積は半日以内なら高圧浣腸という方法で治せますが発見が遅れると手術が必要になったり、腹腹炎を起こして重症になることもある急病です。

4.ヘルニア嵌頓:脱腸(そけいヘルニア)がある赤ちゃんが、激しく泣いたり強くいきんだときに、腸がはまり込んだ形でさらに脹れあがり、時にはねじれて腸がつまった状態となります。痛がって泣くし、最初はミルク様のもの後には緑色の嘔吐を続けます。手で押し戻してもだめな場合は緊急手術をします。

5.イレウス(腸閉塞):腸の中をものがうまく通ってゆかない状態です。ほとんどがお母さんの子宮内(胎内診断)で、または生まれて2~3日の新生児早期に診断がつきます。多くの場合手術が必要です。

2)消化管の通過障害以外の原因によるもの

1.腸管感染症による嘔吐:赤ちゃんたちの嘔吐の原因としては最も多い病気です。特にウィルス性腸炎は元気な赤ちゃんが突然吐きはじめ、まわりで流行っていて発熱や下痢を伴っていれば、まず最初に疑う原因です。寒い冬に白色下痢便を伴うときは乳幼児冬期嘔吐下痢症と呼び、暑い夏に水様下痢便の場合はいわゆる夏カゼ、粘血便がみられる場合は細菌性腸炎が疑われます。

2.腸管外感染症による嘔吐:3ヶ月未満の赤ちゃんが咳、鼻水などの呼吸器症状がなく発熱している場合には、膀胱炎、腎孟腎炎などの尿路感染症を考えます。この場合しばしば嘔吐を伴ないます。また咳その他のカゼ症状を呈したり、熱が高くて気管支炎や肺炎中耳炎の場合にも吐くことがあります。

3.中枢性嘔吐:ぐったりして全く元気がないとか、ずっとうつらうつらして意識がもうろうとした感じ、手足を強くつっぱって硬くなっている(四肢硬直)、目を上方向に固定して動かさない(上方凝視)など脳の病気を思わせる症状でなおかつ”嘔吐”を伴うときは至急受診しましょう。赤ちゃんが髄膜炎や脳炎を伴っていることがあるからです。転倒・転落などにより頭を強く打撲した後に、嘔吐が続く場合には頭蓋内出血や脳浮腫により「嘔吐中枢」が刺激されて吐き続けることがあります。このような場合には一刻を争うことがあり、大至急専門医の診察をうけましょう。

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